理解をもたらすカリキュラム設計とは?④ー「理解」の重要性?ー

「逆向き設計」論では、子どもたちに「理解」をもたらすことが重視され、目指されています。なぜ、「理解」なのでしょうか。

「逆向き設計」論を提唱するウィギンズ(Wiggins, G.)らは、「理解するとは、物事の意味をとらえられるように、私たちの知識を関連づけ、ひとまとまりにつなぎ合わせること」と言います。また、「理解がなければ、私たちは、複数の事実を不明瞭で分離されたもの、役に立たないものとしてしか見ることができないだろう」とも述べています。子どもたちが学んだ用語や事実をバラバラのまま鵜呑みにして覚えているだけでは、それらは役に立たないものと考えられてしまいます。そうではなく、事実や物事を関連づけて、その意味をとらえられるようになることが重要であるとされています。

さらに、ウィギンズらは、理解していれば「知っていることを文脈の中で賢明にかつ効果的に活用する―転移させる―ことができる」と考えます。学んだことを子どもたちが現実世界の様々な場面で活かせるようになるためにこそ、本当にわかること(「理解」)が求められていると言えるでしょう。

引用・参考文献

・Grant Wiggins, Jay McTighe(著)、西岡加名恵(訳)『理解をもたらすカリキュラム設計―「逆向き設計」の理論と方法』日本標準、2012年。
・奥村好美「理解をもたらすカリキュラムの設計とは」奥村好美、西岡加名恵(編著)『「逆向き設計」実践ガイドブック―『理解をもたらすカリキュラム設計』を読む・活かす・共有する』日本標準、2020年、pp.10-16。