みんなで決める時の「決め方」を問い直す
「自分たちで決める」ことを学ぶのは、学校教育の中でも特に重要です。ひとりひとりが納得できる集団決定に行き着く経験は、フェアな社会を構成する一員となるために不可欠だからです。係決め、班決め、学級会などの活動を通じて、できるだけ豊かな経験を与えてあげましょう。
その際、担任として注視すべきは、子供たちが「どのような決め方を選ぶのか」です。子どもたちは、子どもたちなりに“平等”や“思いやり”を大事にしています。なので“不公平”とか“わがまま”とか“強い者・早い者がち”を避けた結果、「くじ引きで決めよう」「じゃんけんで決めるといい」となってしまいがちです。確かに、一見、機会均等で良いようにみえます。しかし、これらの決め方は、単に「天に運を任せただけの決め方」です。いつだって神さまが決めてくれるなら、これほど楽なことはありませんが、同時に人としての成長もありません。
あなたの学級で子どもたちが「くじ引き」や「じゃんけん」で何かを決めようとしていたら、そして、それが学級全体において大事な何かなら、必ず待ったをかけましょう。本当にその決め方でいいのか問いかけてください。
おそらくそれでも「いい」という答が返ってくるでしょう。残念なことに、多くの子どもたちは、それまでの学校生活で「くじ引き」や「じゃんけん」に馴らされてしまっています。それがフェアな決め方だと、誤った認識を形成しているのです。
このような時には「くじ引き」のいいところ・わるいところ、「じゃんけん」のいいところ・わるいところ、を考えさせてください。わるいところに気づくことができたら、それらの決め方が万全ではないと気づけます。本当の意味での「自分たちで決める」ことを学ぶためには、まず、現在の決め方を問い直すことが必要です。安易な集団決定の方法から離れることが、「決めることの難しさを学ぶ」第一歩です。