名言・格言から教育を考える

「ペスタロッチーと子どもたち」広島大学教育学講座所蔵(2020年7月14日筆者撮影)

「人間は教育によってはじめて人間となることができる。」

      カント「教育学講義」伊勢田耀子訳『カント教育学講義他』明治図書、1971 年、15 頁。

この言葉は、人間にとっての教育の必要性と可能性を端的に表す言葉として、教育(学)の中でしばしば引用されます。この言葉が示すように、教育は人間にとって必然なものであるからこそ、古今東西、教育に関する多くの名言や格言が残されてきました。そして、そのような教育の名言や格言は、教育の本質的な部分、つまり「不易」をうまく捉えているからこそ、語り継がれているのだと思います。

一方で、不易を捉える教育の名言・格言にどのような意味を見出すのか。それは時代時代が抱える教育問題によって異なってきます。つまり、教育の名言・格言の意味は、時代の「流行」によって変化していきます。

このコラムでは、教育の名言を紹介していく中で、不易と流行の間で、教育を紡ぐ言葉を探していきたいと思います。