学校における質的研究のデザインと方法
この動画では,教育実践高度化専攻 教育方法・生徒指導マネジメントコースの専門科目である「学校における質的研究のデザインと方法」について,説明します。
本授業は,隈元みちる,山中一英・山本真也が担当します。
まず,「学校における質的研究のデザインと方法」の授業のめざすところについて,お話しします。
この授業は,本コースのもう一つの専門科目「学校におけるデータの取り方と分析」とともに,心理学の研究法について学ぶものです。
研究法を学ぶことは,“科学的視点を持ちながら”学校教育に関わるさまざまな個人及び集団場面に適切にアプローチするために欠かせない,といえるでしょう。
では,ここでいう“科学的視点”とは,どのような視点のことを指すのでしょうか?
一般に,科学とは,“再現可能性”があること,を指すと考えられます。いつでも,どこでも,そしてだれでも,同じ方法でやれば,同じ結果を繰り返すことができる,ということです。
しかし,人と人の間でおこる気持ち,そのときその場の人のありよう,などは,全く同じことは二度とは起こらないものです。そのような状況や文脈,関係性に依存する事柄は,“科学的な視点”の対象にはならないのでしょうか?
これらのことを対象にして,“科学的な視点を持ちながら”アプローチするにはどうすればよいのでしょうか?
「質的研究のデザインと方法」を学ぶことは,このことを考え続けることでもあります。
授業は以下のような内容で構成されています。
まず,質的研究のエッセンスについて,先ほど述べたようなことを含みながら,みなさんで考える時間を持ちます。
その後,質的研究法の具体的な方法に触れていきます。まず,観察法,そしてインタビュー(ここでは理論とともに実際に受講者のみなさんにインタビューを計画・実施していただく時間ももちます),最後に応用行動分析学(ここでも,理論とともに実際に受講者の方にトライしていただきます)。
これらの実際の質的研究法に触れた後,再度質的研究法の展開可能性について考える時間を持ちます。
「学校における質的研究のデザインと方法」の授業を受講することによって,まず第一に,学校教育活動において科学的視点を持ちながらアプローチする意義を理解する,ことができるようになります。
そして第二に,本授業で学んだ視点・方法を,自身の実践・問題意識へ適用・援用する,ことができるようになります。
この授業は,原則として大学院の1年目に履修するものです。2年目には「学校におけるデータの取り方と分析」やこの授業で学んだことをもとに,みなさんの実践や問題意識について“科学的視点を持ちながら”,実際にアプローチしていっていただくことになります。受講に向けての参考文献を挙げております。ご興味のある方は,是非手に取ってみてください。