これからの特別支援教育の言語指導③ーオートクリティックー

前回解説したような丁寧な言葉遣いや相手との関係性を円滑にするための言語行動は、応用行動分析学では「オートクリティック」と呼ばれています。

このオートクリティックという言語行動は他の言語行動とは少し異なる特徴を持っています。それは、この言語行動単体では効果を発揮しないというものです。要求言語行動 (「おやつ」など) や報告言語行動 (「今日の体育はバスケだった」など) はそれ単体でポジティブな結果を得られる言語行動になっています。ですが、「今お時間よろしいですか」「ちょっと申し訳ないんだけど…」というオートクリティックはそれ単体で目的を果たすことができません。「今お時間よろしいですか」と尋ねる人は相手の時間の空き状況を聞きたいわけではなく、話しかけても良いかどうかを訪ねているわけです。また、「ちょっと申し訳ないんだけど」と言う人は相手の機嫌を損ねないように謙っています。どちらもまだ「話しかけた後に得られる情報のゲット」や「お金を借りる」というポジティブな結果を得られていません。オートクリティックだけでは完遂できないのです。では何のためにオートクリティックはあるのか?次回はそれについて解説します。