教員Voice 安原一樹先生インタビュー
学校現場と地域の関係をつくる
――学生生活を振り返って、改めて思い出される印象的な出来事はありますか?
大学時代は、勉強と様々な種類のアルバイトに熱心に取り組んでいました。学内だけでなく、学外でのつながりもたくさんありました。その中でも、広島市青年学級での経験が印象に残っています。青年学級とは、青年学級振興法にもとづいて、勤労青年に対して一般教養を向上させることを目的とした市町村の社会教育事業の一つです。私は、昭和59年から講師として高校に進学しない学生と関わってきました。その経験が、現在の研究につながっています。
――現在はどのような生活をされていますか?例えば、休日はどのように過ごされていますか?
休日は、読書と乃木坂46の研究をしています。様々なジャンルの本を読んでいます。乃木坂46の研究は主にDVDで行っています。デビューした頃(約10年前)に初めて見ましたが、感情的にトークする彼女たちの姿を見て、直感的に売れると思いましたね。また、アイドルの「卒業」をきちんと位置付けたグループでもあります。現在のアイドルは、ある程度活躍したら「卒業」させて、次のアイドルを育てるという流れですが、そのシステムを定着させたグループの一つでもあります。歌やダンスだけでなく、そのような背景まで研究することが楽しみです。
――先生の研究分野と具体的な研究内容を教えてください。
分野でいうと「社会教育学」と「教育経営学」という二つの領域にまたがる分野になります。日本では、地域の様々な教育を経営学的に分析していくことに取り組んでいます。また、学生から続けているスコットランドの成人教育に関する研究も行っています。なぜスコットランドに興味をもったかというと、ウイスキー文化に魅了されたからです。(笑)スコットランドの文化や歴史を知ることが、その国の教育を知る第一歩になるからです。これは、とても大切なことです。また、現在は教師が退職後にどのように新たなステージを迎えるかについての研究にも興味があります。
――先生の書かれた論文で代表的なものを教えてください。
「P.フレイレに学ぶ成人教育としての人権問題学習~スコットランドから日本へ」です。日本の社会教育は、個人ベースの学習が盛んですが、スコットランドの成人教育は、地域教育として幅広く定着した概念です。スコットランドってとても寒い地域なんですよ。だから、地域のつながりがとても重要で、社会システムとか制度も日本と全然違います。日本との違いにふれながら、成人教育としての人権問題学習について書いたものです。
――先生のご専門や研究は学校や教育現場でどのように役立つものですか?
学校現場と地域の関係性について役立つと思います。少子高齢化が進行する現在において、教師や管理職が地元の状況を理解し、地域社会と協力することが今まで以上に重要になってきます。しかし、実際には連携が進んでいない地域が多くあります。その要因が何かを考える力をつけることは、現場で生かされるのではないでしょうか。
――先生の研究分野や研究領域に関わって、おすすめの一冊を教えてください。
私の指導教員である岡東先生の「地域における生涯学習の支援システム 地域教育経営の理論と実践」という本です。岡東先生は、もともと教育学の人で校長のリーダーシップに関わる研究をしていたのですが、実は社会教育が大好きなんです。地域教育経営について基本的な内容がおさえられている本になります。現在は販売されていないのですが、先生にお願いをして、私の授業でもテキストとして扱っていました。先生の影響で社会教育に熱意を持つようになり、現在の仕事につながっているので、とても感謝しています。
――最後に、先生が考える本コースの魅力を教えてください。
異なる分野を学びながら、学生が多様な問題意識を持っているため、新しい気づきやアイデアが生まれることがこのコースの魅力だと思います。また、教科に特化した内容ではなく、教育の広範囲を学ぶコースでもあるので、現職教員とストレート生が対等に意見を交流することができるのも魅力ではないでしょうか。ストレート生が現職教員に堂々と意見を伝える姿を見るのが楽しみです。
インタビュー実施:2023年10月23日
インタビュー・写真:中川清博、村上優奈