Q3. 「協働的な学び」と「自己調整学習」をつなげる工夫はありますか?

Question 3

 「協働的な学び」には「自己調整学習」のイメージがあまり湧いてきません。どのような工夫があれば、つながっていくのでしょうか。

Answer 3

「協働的な学び」の一つの形態として、協調学習があります。協調学習では、答えが一つに定まらないような複雑な問題に、グループのメンバーが一緒になって取り組み、考えを練り合います。その時に、誰かがやるべきことをやらなかったり、関係ないことをし始めたりすると、グループとしての課題の進捗に支障をきたします。つまり、協調学習では、個々のメンバーが、最低限の自己調整ができていることが必要となります。

 そのために、グループのメンバーは、自分の学習を調整しつつ、互いの学習にも気を配ることになります。そのように、互いの学習の調整を行いつつ学習を進めることを、相互調整学習(co-regulated learning)といいます。相互調整学習がうまく行えるグループでは、 「そういうときは、こうすればうまくいったよ」などと、自己調整に関わる成功体験や知識、方略を友達同士で伝えあうといったことが行われるようです。調べ物などをグループ内で分担させる場合も、作業の途中で、メンバー同士でどこまでできたかを報告させ、うまく進まない時は一緒にやり方を考えさせるなど、相互協調学習を促す工夫をすれば、自己調整学習と協働的な学びがつながっていくと考えられます。

(宮田佳緒里)

参考文献

大島純・千代西尾祐司(編)『主体的・対話的で深い学びに導く 学習科学ガイドブック』 北大路書房、2019.