Q3. 「学習の個性化」が進んだら、入試では「学習の個性化」を生かした出題が行われますか?

Question 3

 「学習の個性化」と「キャリア教育」はどのように繋がっていくのでしょうか。「学習の個性化」が進んだら、高校入試や大学入試では、「学習の個性化」を生かした出題が行われるのでしょうか。それはAO入試のことですか。

Answer 3

 総合選抜型入試(旧AO入試)は、アドミッション・ポリシーとよばれる学校側が求める人物像の基準に沿った人物を合格させる入試選抜制度です。多面的、総合的に評価・判定するということになっていて、エントリーシートや面接を中心として,高校や大学ごとに多様な試験が課されます。学習の個性化を重視した教育では個々の児童生徒の興味や関心によって、それぞれ異なる目標に向けて学びの広がりや学習の深化が行われます。そのようにして磨かれた子ども独自の強みと、学校側が求める人物像がマッチすれば、お互いにとって望ましいことになりそうです。その点では,総合選抜型入試と学習の個性化は相性が良いといえるでしょう。

一方で、子どもがどんな強みを持っていたとしても、うまく相手(志望校)にアピールできなければ、合格には結びつきません。その意味では、自分の好きなことだけを極めていくだけでは不十分です。面接の際のコミュニケーションスキルはもちろん,エントリーシートを充実させるために計画的に実績を積み上げていく課題対応能力が求められます。また,より広い視野とスパンで自己実現のための活動と,自分の進路を結びつけるためにキャリアプランニングの力も必要でしょう。そもそもキャリア教育の不足により,自己理解や自己管理の力が不足する場合は,学習意欲が生起・維持されにくく,学習活動もままなりません。これらは基礎的汎用的能力と言われ,令和4年現在のキャリア教育で育成すべき力ととらえられています。このように考えると,充実したキャリア教育は,学習の個性化の土台になるものなのかもしれません。

(森本 哲介)