個別最適な学びとは

ここでは、「個別最適な学び」「指導の個別化」「学習の個別化」とは何かを知るために、答申の記述を見てみましょう。

 まず、個別最適な学びとは、「「指導の個別化」と「学習の個性化」を教師視点から整理した概念が「個に応じた指導」であり、この「個に応じた指導」を学習者視点から整理した概念が「個別最適な学び」である(答申p.18)」とされます。

 指導の個別化とは、「全ての子供に基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させ、思考力・判断力・表現力等や、自ら学習を調整しながら粘り強く学習に取り組む態度等を育成するために」、「教師が支援の必要な子供により重点的な指導を行うことなどで効果的な指導を実現することや、子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度等に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うこと」とされます(答申p.17)。指導の個別化の中身は、上の文の後半「教師が~」以降です。

 学習の個性化とは、「基礎的・基本的な知識・技能等や、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、幼児期からの様々な場を通じての体験活動から得た子供の興味・関心・キャリア形成の方向性等に応じ、探究において課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現を行う等、教師が子供一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身が学習が最適となるよう調整する」こととされます(答申p.17)。子どもの学習が最適になるように、学習活動や学習課題を1つだけではなく複数用意し、選べるようにすることといえます。

(宮田佳緒里)

参考文献

中央教育審議会 『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学び~(答申)』(令和3年1月26日)