正直に答えてもらうために
アンケートでは,回答者の事実を知りたいわけですから,本音を語ってもらわなければ意味がありません。ところが,人の回答は意外と簡単にゆがみます。
例えば,「今日の授業はわかりやすかったですか」と聞かれて,「わからなかった」と正直に答えたら成績が下がるとします。それなら,うそでも「わかりやすかった」と答えるでしょう。回答者が不利益を被るおそれを感じると,回答は特定の方向にゆがみます。
また,個人情報の保護にも注意が必要です。自分がアンケートに答えたことが,ネット上に名前付きで晒されたら,たまりませんね。発信者に悪意がなくても,発表会の資料や論文がネット上に公開され,そこから個人情報がもれるかもしれません。回答者がそういう危険を感じると,回答は当たりさわりのない方向にゆがみます。
そこでアンケートでは,回答によって不利益がないことを,必ずはじめに回答者に約束します。アンケートのはじめによくある,「回答は統計的に処理され,個人が特定される形で公表することは一切ありません」という一文がそれです。児童生徒が対象なら,成績には関係がないことも伝えましょう。
そう約束したからには,もちろん実施者もそれを厳守しなければなりません。