「話し合い」を「フェア」にしよう

集団浅慮をおこさないようにするためには、どのような話し合いをすればいいのでしょいうか? 心理的公正研究が大きなヒントを与えてくれます。心理的公正研究とは「人が何をフェアと感じるのか」「フェアあるいはアンフェアを感じると人はどうなるのか」を追究した社会心理学の一分野です。リンドさんとタイラーさんは、人は自分に関わる決定かなされるとき、その決定手続きがフェアであるかをとても気にすること、そして手続きがフェアだと感じたら、最終的に決定が自分の思い通りにならなくても、納得できることを明らかにしました。

すべての人が思い通りになる集団決定は、理想ですが難しいです。それは現実社会でも学級内でも同じです。となると目指すべきは、誰もが決定に納得できることです。決定が自分の思い通りにならなくても、フェアな話し合いという手続きの結果ならば参加者は納得できます。

さてそれでは、話し合いをフェアにするためには、どうすればいいのでしょう?

レーベンソールさんは、フェアな手続きが持つべきルールを6つ、挙げています。1つめは「関わるすべての人に同じやり方が適応されること(一貫性)」、2つめは「ウソや誤った情報ではなく正しい情報に基づくこと(正確性)」、3つめは「決めつけや思い込みによらないこと(偏見の抑制)」、4つめは「間違いに気づいたら修正できること(修正可能性)」、5つめは「一部の人だけが認めるやり方ではないこと(代表性)」、6つめは「誰かを傷つけるやり方ではないこと(倫理性)」です。

学級での話し合いが上手くいかないと感じたとき、担任のあなたから「フェアな話し合いをしよう」と提案してみてください。そして、フェアな話し合いには6つのルールがあるんだよ、と紹介してください。ですが間違っても、6つのルールを押しつけてはいけません。子どもたちが「フェア」という言葉に魅力を感じれば、自分たちでフェアを意識し、自分たちでフェアのためのルールを見つけ出すからです。

え、子どもにとってフェアが魅力的な言葉かって? その点は間違いありません。子どもたちを魅了するヒーローやヒロインは、今も昔も、フェアなキャラに決まってますから。

文献

Lind, E. A., & Tyler, T. R. (1988) The social phycology of procedural justice. Springer Science & Business Media.

Leventhal, G. S. (1980). What should be done with equity theory? New approaches to the study of fairness in social relationship. In K. J. Gergen,M. S. Greenberg, & R. H. Willis (Eds.), Social exchange: Advances in theory and research (pp. 27–55). New York: Plenum.