兵庫県高等学校教員

内田 由記さん

INTERVIEW

兵庫県高等学校教員

内田 由記

2024年度修了生

「高等学校における多様な性を考えさせる学校づくりとその課題」について研究を行いました。

 

Q. KSMで研究したテーマ・内容は何ですか

「高等学校における多様な性を考えさせる学校づくりとその課題」について研究を行いました。当初は、授業研究に焦点を絞って取り組もうと考えていたのですが、指導教員の隈元先生から「授業にとどまらず、学校全体の取り組みとして捉えてみてはどうか」と助言をいただき、視野を広げることができました。そのおかげで、研究の内容は単なる授業実践にとどまらず、生徒指導や職員研修など、学校づくり全体に関わる要素を含むものへと発展しました。学校全体で多様な性について考える土台をつくることの重要性を感じています。

 

 

Q. KSMで学んだことで最も印象に残っていることはなんですか。

KSMの先生方には、言葉の使い方について深く考えるきっかけをいただいたと感じています。入学当初、「まず言葉の概念を理解してから話しなさい」と言われたことを、今でも鮮明に覚えています。現場では、目の前の業務に追われ、言葉の概念にまで意識を向ける余裕はありませんでした。しかし、KSMでの2年間は、一つひとつの言葉について「本当に正しく理解できているか」「適切に表現できているか」をじっくり考える貴重な時間となりました。その過程で、自分がいかに言葉を曖昧なまま、自分本位に使っていたかに気づかされました。言葉の背景にある概念や文脈を意識することで、伝える内容に対する責任感や説得力も大きく変わるのだと実感しています。

  

 

Q. KSMで学んだことを踏まえて現在実践していることは何ですか。

特に生徒指導は、すぐに結果が表れるものではなく、地道な積み重ねが求められる分野です。KSMに入学する前の私は、ほとんどが自身の経験や感覚に頼った指導をしていました。しかし、KSMでは生徒指導に関する理論を体系的に学ぶことで、これまでの実践を言語化し、意味づけることができました。その学びを現任校での実践に活かす中で、理論に裏付けられた、生徒一人ひとりに対して根拠のある対応ができるようになり、自信を持って生徒指導に臨めていると実感しています。感覚だけに頼らず、理論と実践を往還する姿勢の大切さを、KSMで学ぶことができました。

  

  

Q. これからチャレンジしてみたいと思っている学びや実践はありますか。

 高等学校における「多様な性」をテーマに、学校づくりとその課題について研究を進めてきました。その中で、近年では教育活動の中で多様な性を取り扱い始めている学校が少しずつ増えてきていることが分かりました。しかし、それぞれの学校が個別に取り組むだけでは限界があると感じています。だからこそ、小・中学校での学びを踏まえたうえで、高等学校においても系統的に教育を行っていく必要があると強く感じています。学習指導要領のように、発達段階に応じて一貫した学びの流れをつくることが、多様性への理解を深める上で重要です。私自身、まだ高等学校における学びの在り方を十分に形にできているとは言えませんが、今後は小・中・高の学びをつなぐ“架け橋”となるような取り組みを、何らかの形で実現していきたいと考えています。

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