理解をもたらすカリキュラム設計とは?①ー「逆向き設計」論とは何か?ー

「目の前の子どもたちに生きて働く学力を育んでいきたい」

これは、おそらく教師の誰もが持つ願いではないでしょうか。

ここで紹介する「逆向き設計」論とは、育てたい学力を本当に子どもたちに保障するための計画を「意図的」に設計するために、何を考えるべきかという枠組み提案しています。

「逆向き設計」論は、子どもたちの長期的な成長を促すカリキュラム設計をめざす理論です。ただし、まずは教師にとって親しみやすいと考えられる単元から設計していくことが提案されています。つまり、入り口として単元を設計し、そこから個々の単元を長期的な視点の中に位置づけることが推奨されています。

「逆向き設計」論では、「教育目標」、「教育評価」、「学習経験と指導の計画」という三つの段階を三位一体のものとして単元を設計することが求められています。

この三つの段階は、必ずしもこの順番で考える必要はありません。どこから考え始めたとしても、指導を始める前にこの三つを対応させて考えておくことが重要です。ただし、一度設計したら、予定を変更してはいけないわけではありません。子どもたちが目標を達成できるように、子どもたちの状況に応じて柔軟に計画を変更していくことはむしろ大切なことといえるでしょう。

引用・参考文献

・Grant Wiggins, Jay McTighe(著)、西岡加名恵(訳)『理解をもたらすカリキュラム設計―「逆向き設計」の理論と方法』日本標準、2012年。
・奥村好美「理解をもたらすカリキュラムの設計とは」奥村好美、西岡加名恵(編著)『「逆向き設計」実践ガイドブック―『理解をもたらすカリキュラム設計』を読む・活かす・共有する』日本標準、2020年、pp.10-16。