これからの特別支援教育の言語指導④ーオートクリティックの役割ー

前回はオートクリティックはそれ単体では最終的に求めているポジティブな結果を得ることができない特徴があることを解説しました。それではオートクリティックは何のためにあるのでしょうか。何の意味もない言葉なのであれば我々は丁寧な言葉遣いなどしなくても良いことになってしまいます。

ところがオートクリティックにも役割はあります。それは「他の言語行動がポジティブな結果を得られる確率を上げる」という役割です。誰かからお金を借りたい時、「ちょっとお金貸してくれない?」と尋ねた場合と「本当に申し訳ないんだけど、ちょっとお金貸してくれない?」と尋ねた場合を考えてみてください。どちらの方がお金を貸してくれる確率が高そうでしょうか。明らかに後者の方がお金を借りることができそうです(図の赤線を辿ってみてください)。「今お時間よろしいでしょうか」についても同じです。この言葉を使って相手に何かを依頼した時と使わずに依頼した時では、その依頼を聞いてくれる可能性が変わりそうです。次回はこの話題についてのまとめについて解説したいと思います。