ケース会議と事例研究会の異同

ケース会議と同じようなものとして「事例研究会」があります。事例研究会も,ある事例を「個別に深く検討することによって,その状況の理解を深め対応策を考える」ものといえます。一方で,目的や参加者や人数,事例提供者や開催時期,進め方などには,やや違いがあるといえます。

 事例研究会では,「対人援助職としての成長」に比重が大きく,対してケース会議は特に「今困っている」ことに対して行うもの,と考えるとよいかもしれません。

 この違いにより,参加者も事例研究会では事例に直接関わらなかった人も含めるので多数となり,一方でケース会議では今その事例に関わっている少数が集うことになります。事例発表者も,事例研究会では一度みんなと共に考えてみたい事例を提供してくれる人となり,ケース会議では今事例について相談したい人となります。

 対人援助職の成長を促すことに比重が置かれる事例研究会は,多くの人が参加できる夏休みなどに企画されることが多く司会が進行することになります。一方で,ケース会議では,できるだけ「そのとき」に開催することが望ましいといえ,司会というよりも参加者全員が不安なく意見を出し合えるように話し合いを促進するためのファシリテーターがいることが望ましいといえます。