特別活動【集団で課題に取組み,自己の気づきに結びつける】

特別活動は,児童生徒の人格形成に直接的にかかわる教育活動として,学校教育の中で独自の教育機能をもつものになります。様々な学校行事や児童(生徒)会活動などの活動は,集団で共通の課題に取組み、解決するための学習過程です。異学年交流も含め多様な他者との協働的に学び取組むことは,様々な葛藤を集団や自己にもたらします。教師には,役割の重要性を示したり,児童生徒のアイデアや願望が実現可能なものになるようアドバイスするなど、活動の中で生じた葛藤状態を解決するための黒子的な支援が重要であるとされています。

特別活動の3つの視点の1つに自己実現が含まれているように,別稿の「キャリア教育」との関連も大きく、学校行事や児童(生徒)会活動のような集団活動は,キャリア教育で育成すべき能力とされる基礎的汎用的能力が刺激されやすい活動です(もちろん、このような気づきは、教科教育の活動中にも起こりうるものです)。一方で,集団活動の中で刺激を受けて得られる気づきや学びは,同じ行事に取組んでいたとしても大きく個人差があるところですし、気づきを得た結果児童生徒がどのような選択をするかは個々の児童生徒によります。

ところで、学校行事等で得られた気づきや学びは,基礎的汎用的能力を育成するうえで重要なものですが、教科の内容のように点数化することが難しく、放っておけば,意識に残りにくいかもしれません。そのため,学級活動の中で、学校生活上の様々な活動における学びを振り返り、自己形成(キャリア形成)上のどこの部分に位置付けられるかを意識化することが、児童生徒の学習の個性化において重要になるわけです。学級活動は,年度の最初や学校行事等の隙間を埋めるための時間に用いられることもしばしばあるかもしれませんが、実はけっこう重要なもので、丁寧に意図的に使うと時間が足らなくなるのかもしれないのです。

(森本 哲介)