2 道徳的諸価値についての理解を基にする 道徳的価値について理解するって……?

道徳的価値について理解するとは,発達の段階に応じて多様に考えられるが, 一般的には,道徳的価値の意味を捉えること,またその意味を明確にしていくことである。思春期にかかる中学生の発達の段階においては,ふだんの生活においては分かっていると信じて疑わない様々な道徳的価値について,学校や家庭,地域社会における様々な体験,道徳科における教材との出会いやそれに基づく他者との対話などを手掛かりとして自己との関わりを問い直すことによって,そこから本当の理解が始まるのである。また,時には複数の道徳的価値が対立する場面にも直面する。その際,生徒は,時と場合,場所などに応じて,複数の道徳的価値の中から,どの価値を優先するのかの判断を迫られることになる。その際の心の葛藤や揺れ,また選択した結果などから,道徳的諸価値への理解が始まることもある。このようなことを通して,道徳的諸価値が人間としてのよさを表すものであることに気付き,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念に根ざした自己理解や他者理解,人間理解,自然理解へとつながっていくようにすることが求められる。(14-15頁)

文献

【特別の教科 道徳編】中学校学習指導要領(平成29年告示)解説(mext.go.jp) より    〔2021.5.30最終閲覧〕