2.「評価」「評定」と観点別評価

 

コラム1で、「評価」(指導と学習の改善に活かす評価)と「評定」(記録に残す評価)に大きく区別されることをお話ししました。

ただし、実際にはこの2つがはっきりと区別されず、「評価と評定の活動は同じようなものだ」と捉えられている場合も多いです。

たとえば、観点別学習状況の評価(観点別評価)を考えてみましょう。

現状では、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点で、観点別評価を行うことになっています。

そして、この観点別評価の取り組みでは、

・観点に分けて子どもの日ごろの学習状況を把握し、次の指導に活かすこと(評価)

・3つの観点で成績や通知表をつけ、学力の証明にすること(評定)

といったように、「評価」と「評定」の2つの活動が自然につながっています。

これら2つの取り組みをまとめて「観点別評価」と呼んでいます。(※1)

そのため、2つの目的の違いが区別されにくく、「観点別に評価したものは、成績に入れる必要がある」という考えになりやすいのだと思われます。

もちろん、実際には

・ある定期テストの結果をもとにして、一方で子どもの「評定」を出しつつ、他方で子どもの達成度を見て授業の進め方を見直す

・面談で成績表を渡して、保護者に子どもの学力を説明するとともに、保護者や子どもと次の学びの方向性を話し合う

というように、1つの活動のなかに「評価」と「評定」の両方が含まれていることもあります。

しかし、「評価」と「評定」では、めざしている目的や、実際に行う手続きが異なっています。

たとえば、「評価」は学習前・中・後のさまざまな場面で行われますし、次の指導と学習に活かすだけで、形に残らないものも多いです。他方で、「評定」は、教育での成果を示すもので、一まとまりの教育活動の最後に行われることが多く、きちんとした形に残します。

また、一般的には評価の取り組みの方が幅広く、評定として行う活動は評価の一部に限られます。

そのため、「評価をしたら評定に入れる」と考えていくと、評定に入れるものがどんどん増えていってしまう、という状況になりやすいです。

「評価をしたら成績(評定)に入れなければならない」という考えをほぐすためにも、この2つは、日々の実践の中で意識的に区別しておくことが大切です。

(※1)なお、現行の制度では、学習状況を分析的に捉えるものを「観点別学習状況の評価」とし、総括的に捉えるものを「評定」と呼んでおり、本コラムの区分とは異なります。

【文献】

石井英真(2023)『中学校・高等学校 授業が変わる学習評価深化論:観点別評価で学力を伸ばす「学びの舞台づくり」』図書文化社