教員Voice 淀澤 勝治先生インタビュー

 

理論と実践が融合した学びが深いコース

 

――学生生活を振り返って、改めて思い出される印象的な出来事はありますか?

将来先生になるために大事だなって思う授業は徹底的に出ました。とりわけ実習がすごく大事だと思っていました。僕は幼児教育を専攻したので、幼稚園に何度も行くことがあり、担任の先生の補助をしたり、朝早く行って掃除をしたりしていました。子どもたちは僕ことを副担のように思っていたみたいで、卒園式の時は泣きに泣いて、別れのシーンがとても印象に残っています。もう40年も前の話ですけどね。また、障害児教育が必要になる時代が来ると思って、特別支援の免許も取りました。そのあとは、公立小学校と附属小学校に10年ずつで合わせて20年勤めたあと、大学教員になりました。

 

――現在はどのような生活をされていますか?例えば、休日はどのように過ごされていますか?

単身赴任をしてるので、家事全般を毎日こなしています。休日は、旅にでています。日本全国出張で行っていますし、 それ以外にも、興味関心のあるところに行っています。1番良かった旅行先は長崎です。北海道や沖縄にもよくいきます。他にも本を読んだり、美術館に行ったり、クラシック、ジャズなど幅広く音楽を聴いたり、です。

 

――先生の研究分野と具体的な研究内容を教えてください。

メインは道徳です。道徳の中にもいろいろな学習法があり、大学院で勉強したことを基にした「合意形成型の授業」を研究してます。元々はコールバーグの道徳性発達段階論におけるジレンマ問題からスタートして、今はハーバーマスの勉強をしています。また、最も大事なことの一つに学級経営があると考えているので、いかによい学級をつくるかの研究と実践をしています。学校研修に講師と呼んでもらったときには、飛び込みで授業をしてから講演をするパターンをよくやっています。他の研究としては、幼児教育があります。環境設定についての勉強をしています。また特別支援も勉強しています。特別支援については、知ってるようで知らないことが多くあります。

 

――先生の書かれた論文で代表的なものを教えてください。

修士論文「ユルゲン・ハーバーマスのコミュニケーション的行為の理論を、実践に活かした道徳教育についての一考察」ですね。その内容は合意形成です。ジレンマ資料を用いて、道徳的葛藤場面を与えて授業するというやりかたで、資料の中身はオープンだけども、話し合いをクローズドしていくというかたちを考えました。ジレンマの場合は、オープン、オープンで終わる形が通常なのですが、資料をオープンにしながら授業自体はクローズドさせるというやり方です。

 

――先生の研究分野や研究領域に関わって、おすすめの一冊を教えてください。

自分が持ってる本は大抵真っ白で綺麗です。線を引いて読んだりしないので。だけど、その本の中で唯一、手あかにまみれた本は「コールバーグ理論の基底」(佐野安仁、吉田 謙二編、1993年、世界思想社)という本ですね。コールバーグ理論をすごく丁寧に解説されていて、学問的に難しい言葉も多いですが、すごく丁寧に書いてあります。

 

――最後に、先生が考える本コースの魅力を教えてください。

2つあります。1つは、先生方の中に教育方法・生徒指導に関するあらゆる分野の人がいます。だから、何を研究したくても教えてくれる人がいて、さらにゼミ所属の他の先生にも他の先生に自由に聞きに行ける環境があります。ゼミを超えて聞きに行けるというシステムが確立しています。もう一つは、大学院生とストレートマスターがいることです。お互いにとって有益だと思っています。院生にとっては、 ストレートマスターの斬新で、若い意見を聞くことができる。ストレートマスターは、中堅、ベテランの経験を経た人たちが何を考えてるのか、何に悩んでるのかを聞くことができる。それらをトータルして、理論と実践が融合すると考えてます。

 

インタビュー実施日:2024年1月22日

インタビュー・写真:村上優奈